基調講演


東海大学教授 唐津 一氏

 有明佐賀空港は順調に滑り出しています。この空港は周辺に広大な農地が広がり、環境に恵まれていて正に空港として理想的です。
 今後は周辺地域も含めこの空港をどう使いこなしていくかが大きな課題でしょう。
 空港というと「旅客」や「貨物」のために使われることが普通ですが、もっと多様な活用が考えられます。
 一番提案したいのは整備空港です。飛行機は飛ぶ度に整備をしなくてはならず専用の空港が必要ですが、有明佐賀空港は周辺に整備工場などをつくる余地が十分にあり整備空港に最も適しています。世界でも定評のある日本の整備技術であれば、東アジアの航空会社の飛行機全部を佐賀に持ってきて整備することも可能です。
 海外の例でいうと、アメリカのアトランタも飛行機の整備空港として成功し、今では全米一発着便数の多い空港となっています。アトランタには日本の企業もかなり進出していますが、「あんな便利な空港はない」とよく言われます。こうした空港を見に行き研究したらいいと思います。
 それから、パイロットを養成する訓練空港としての活用が考えられます。さらに、有明佐賀空港は九州の心臓部とも言える位置にあり、周辺の既存空港と併用した使い方もできます。高速道路を利用すればわずかな時間で結ばれる福岡空港と役割分担をしたり、霧で着陸ができなくなる熊本空港の避難空港として活用したりする方法もあります。
 日本は不況と言われていますが、これは東アジアの不況と異なり、金融資産は十分にありながら出回らなくなったために生じた不況です。日本経済五百兆円のうち三百兆円を占める個人消費が冷えたのが今回の不況なのです。今、日本中が合理化をしたり新しい製品開発をやったり一生懸命ですが、こうした努力の結果、再来年には景気が良くなるものと考えられます。
 そこで、今後我々が何をやるべきかを考えるにあたっては次の五項目が参考になります。爆発的とも言える新しい技術開発、多彩な情報革命、新たな交通機関の誕生や宅配便に代表される新運輸システムの確立、製品の国際化・無国籍化の進展、非常に感度の高い消費。これらを前提に、佐賀においては将来をどのように展望し、どう取り組んでいくべきか考えていこうではありませんか。
■有明佐賀空港

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