3 大筑紫経済圏と有明佐賀空港

 

1.大筑紫経済圏の発展形態

 新国土軸構想においては、反一極集中と多極分散型は同一ではないと考えられていることに注意しなければならない※3。東京一極集中の弊害(非効率性と地域間不平等発展)を脱するために多極分散型の複数地域での新たな一極集中構造への再構築計画なのである。
 九州においては、福岡一極集中の限界を清算し、その弊害である経済・社会における種々の非効率性と不平等を克服し、地域間不平等発展を克服することによって九州の新しい中心地域を構築することが重要なのである。
 そのためには、この大筑紫経済圏に、(1)国際交流圏を創設し、日本経済のボーダレス化に対応した地域レベルの経済交流を実現していくことが重要である。国境を越えて地域と地域が直接的に結ばれ、それら地域が活性化することによって、情報・物流の中継地点(空港・港湾等)となるような地域全体の経済的利益を目的とした経済圏の構築が必要なのである。そのために(2)新しい物流拠点・情報拠点となる中核都市の構築(佐賀市と久留米市等)が必要なのである。さらに、このような意味でこの地域は特にアジアとの相互依存関係を深める交流圏の構築が重要となってくるのである。そして、この地域においては、(3)空港と高速交通体系が一体となった高度な交通システムや学術、研究開発、都市機能を提供することができることが必要である。そのためには、(4)地域オリジナルの新しいアイディアの創出、産業化・企業化の努力が必要となるのである。「絶え間ない技術進歩」を実現することが可能である社会システムを構築する地域だけが21世紀の中心となり得るからである※4。この目的実現のためには(5)「人作り」もまた重要なことである。
 そして(6)渇水地域となった福岡市周辺を助け、筑後川流域圏と有明海沿岸域の社会経済の発展と環境問題の解決をもって、この地域の再構築を行なうことが重要である※5



※3 すなわち、廃藩置県から廃県置藩ではないことに注意しなければならない。

※4 今日、経済は「重厚長大」の時代から「軽薄短小」の時代に推移している。それは、「工業化型の機能固定型の技術」から「情報社会型の機能発展型の技術」へと変化していかなければならないことを意味しているのである。

※5 「水と夢」がある地域に対して周辺市町村は県境を超えて協力することによって双方の利益を実現することができるのである。

 

 

2.大筑紫経済圏における有明有明空港の果たす役割(必要性)

 以上で説明したような大筑紫経済圏の発展形態を促進して行くためには、その核としてまたそのシンボルとしての有明佐賀空港の果たす役割は重要である。
 また、(7)日本に現存する新東京国際空港(成田空港)や関西国際空港のような国際競争力のない国際空港問題不足を解決することも急務である。この解決策の1つとして、この「大筑紫経済圏」の地域に国際競争力のある国際空港を建設することが必要である。そのために国際空港として有明佐賀空港の拡張整備(気象条件に恵まれ滑走路の拡張や複数化、空港機能の高度化などの大規模な拡張が容易である)が必要不可欠なのである※6


※6 国際空港である成田空港・関西空港はジャンボの着陸料金が87万円と高すぎるために国際競争力がないと言われている。

 

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