![]()
株式会社ジェイティービーワールド九州
代表取締役社長
満留省吾(1942年生まれ)
1965年 九州大学文学部卒業
1965年 株式会社日本交通公社入社(現 株式会社ジェイティービー)
1985年 株式会社日本交通公社 九州海外旅行センター所長
1989年 株式会社日本交通公社 九州営業本部海外旅行課長
1990年 株式会社日本交通公社 海外旅行福岡支店長
1992年 株式会社日本交通公社 九州営業本部副本部長
1995年 株式会社日本交通公社 取締役九州営業本部長
1998年 株式会社ジェイティービーワールド九州 代表取締役社長
「日本人の海外旅行の現状と今後の見通し」
皆様こんにちは、ただいまご紹介いただきました、ジェイティビーワールド九州の満留でございます。ただいま過分な丁寧なご紹介をいただきまして大変に恐縮でございます。
満田企画部長さんから2月6日に佐賀空港からベトナムのチャーター機が出たとお話がありましたが、「してやられたな」と。実は私がこの2年ほど懸案として温めていた企画でございまして、なんとしてでも福岡から一回出したいというふうに思っておりましたところ、見事にしてやられました。さすがに佐賀県だと兜を脱いだ次第でございます。
余談はさておきまして、今ご紹介にありましたように、私は昭和40年にJTBに入り、そのころは日本交通公社という固い社名でございました。入社以来約30数年間、主に海外旅行の仕事を東京と九州でやってまいりました。九州はあしかけ30年になります。私は鹿児島県生まれで九州育ちでございます。九州が私のホームグラウンドと言っていいと思います。かなり長く海外旅行を手掛けてまいりました。昭和39年に日本人の海外旅行が観光で自由化になりましたが、それ以来日本人の海外旅行の軌跡と共に歩いてきたということになると思います。
現在の会社をご紹介しておきたいと思います。このジェイティービーワールド九州という会社は3つの事業部を持っております。ひとつの事業部は、海外向けのパッケージ旅行を作っておりまして、これを主に、広島、山口、九州地区の旅行代理店へ商品を卸しておる会社でございます。もうひとつの事業部は、飛行機だけ買って海外に行く方が若い方を中心に増えております。そういう個人で海外旅行をする場合のパーツを一般の旅行代理店に卸している事業部でございます。もうひとつは私の最後のライフワークにしたいと思っている事業なんですが、主にアジアからの外国人のお客様を九州に誘致してお世話するという仕事で、私共ではインバウンド事業ともうしておりますが、この三つの事業を手掛けている会社でございます。アウトとイン双方に跨がる仕事をしている会社だとご理解いただければと思います。
これまでの日本人の歩みを簡単に振り返ってみたいと思います。現在2000年度で1781万人の日本人の方が海外旅行を楽しまれました。なぜこれほどまでに盛況を呈したかを振り替えることによりまして、その背景が鮮明になってまいります。それから今後を展望するのに大変参考になろうかと思います。あえて時間をちょうだいしたいと思います。今申し上げましたように、日本人の観光を目的とした海外旅行が自由化されましたのが昭和39年でした。この年はご記憶かと思いますが、東京オリンピックがあった年でございます。それと東京−新大阪間に新幹線が開通をいたしました。それによりまして国内の旅行も随分活性化するようになりました。この年に海外に出られた方がどのぐらいおられるかと言いますと、わずかに12万8000人なんです。その中で推定値ですが九州から4〜5%相当、だいたい5〜6000人といったところです。それが今やなんと1700万を超える方々が海外旅行を楽しまれることになったんです。まさに海外旅行の大衆化時代を迎えているわけであります。なぜ短期間にこれだけの伸びをしたかという背景、要因は、三つほど上げられると考えております。
まず第一に上げられることは、日本経済の急速な発展でございます。高度成長に乗っかりまして毎年右肩上がりで日本の経済が成長してきて先進国並み、あるいはそれを凌駕するほどまでになった。個人の所得が増えてレジャーなどに回すお金に余裕が出てきたということです。なによりも先立つものがありませんと旅行が出来ませんのでこれが第一点でございます。私が入社したのは昭和40年で一ヵ月の給料がその年で恥ずかしい話ですが3万切れたのではないかと思います。そのころ募集していたハワイ旅行がスタンダードで、平均的なハワイ旅行で30万〜35万していた記憶があります。私の給料で飲まず食わずで約10ヵ月貯めてもやっと手が届くかどうかという時代でした。それがなんと今は大卒の女性の初任給でもおつりがくるような時代になっているわけです。大変お買い求めやすくなってきて、相対的に旅行費用は安くなったこともその背景にはあると思います。
二つ目に上げられますのは、いろんな規制が緩和になり、いろんな制度がこの30年ぐらいの間に改定されております。ご年配の方で経験された方はご記憶があると思いますが、そのころの初期の海外旅行というのは、観光旅行ですと一回に使える外貨のほとんどはドルでしたが、500ドル、日本円で2万円しか使えなかったんです。非常に厳しい為替管理法の制限がございまして、米ドルを買うにもパスポートと外貨購入許可証というのを準備して為替銀行に行きまして購入しないといけないという、大変わずらわしい手続きがいったわけです。その頃日本の外貨保有高は非常に少なくて、とても海外旅行の観光旅行に回すような貴重な外貨は回せないという考え方が政府、日銀、大蔵省にあったのだろうと思います。それが輸出がどんどん増えて日本の経済が成長するにつれて外貨保有がどんどん多くなりました。それに伴いまして規制もだんだんゆるやかになりました。500ドルが1000ドル、1000ドルが3000ドル、今やほぼ無制限に外貨も使えますし、日本円も使えるという時代になったわけであります。非常に海外旅行するには便利な世の中になっております。当時1ドルが360円時代でご記憶の方があろうかと思いますが、ほとんどの国が米ドルだてでした。ホテル代とかバス代とかすべての現地で使う費用がドルだてでしたので、日本人が旅行する場合大変割高になっていたわけです。それが現在では1ドル今年円安で130円を少し超えていますが、それでも360円時代に比べたらたいへん割安になっている。これが旅行しやすくなった、旅行費用が安くなった大きな要因であろうかと思います。だから先程申し上げましたように新入女子社員の初任給でも十分おつりがくるぐらいハワイ旅行が楽しめるような時代になっているわけです。
次にパスポートがございますが、最初は海外旅行の観光旅行は一回用しか取れませんでした。それしか交付していただけなくて、これを取得するにも大変わずらわしい手続きがいり、日数も今の倍ぐらいかかった記憶がございます。これは年々改定されまして今や5年間有効なものと10年間有効なパスポートがあります。先般ちょっとお聞きしましたら、最近どんどん便利になっておりまして、福岡県は今年の6月から日曜日にもパスポートを交付されると聞いております。これなどは今後、海外旅行を促進するのにはフォローウインドになると思います。こういうふうにパスポートの有効期間が長くなり、年々取得される方が増えてますので、有効期間内に海外旅行をされるかたが増えております。私どもはこういう方々をリピーターと呼んでおります。例えば2000年を例にとりますと、1781万の方の中でリピーターと言われる方が約1100万ぐらいだろうと推測をされています。この1000〜1100万というのはここ数年リピーターが海外に行かれる数字ですがここ数年は変わっておりません。このリピーターの旅行者が一年間で減ったり増えたりすることで、年間の旅行者が増えるか増えないかという動向を握っていると言ってもいいと思います。
さらに、手続きが簡単になったものに査証(ビザ)があります。私どものごく近くでは韓国が必要なくなりましたし、台湾も観光の場合は必要なくなりました。海外旅行が膨れ上がるのに後押ししたのは、米国のビザが必要でなくなったということが大変大きいと思います。これによりまして国内旅行並みの感覚で皆さんが韓国だとかアメリカを旅行されるようになりました。特に若い人を中心にして膨れ上がってきています。先週聞いたところによりますと、中国はまだビザはいるんですが、修学旅行に限ってビザの取得が不必要になりました。そのビザがいらなくなった第一陣が九州からで熊本の九州学院高校が出発し、昨日帰られております。ビザの手続代が数千円負担が軽くなり、なによりも出発までの面倒な手続きがいらなくなったということで、今後中国ブームがさらに加速するのではないかと私どもはみております。
あと予防接種があります。今は皆さんは関係ないわけでありますが、ごく最近まで東南アジアの国へ行くにはこれらの予防接種が必要だったわけです。コレラなどは事前に出発前の2回必要だったわけですがこれも必要なくなりました。一部、黄熱病と高熱病のマラリアについてはまだ要求する国が残っておりますが、ほとんどの国が予防接種が必要なくなったわけです。このことは大変海外旅行するにはひとつのモチベーションアップにつながっていると思います。以前は私どもは海外旅行する際にお客様にこれだけは忘れないでくださいと申し上げていたことは、パスポートと航空券とこの注射の証明書です。いずれも簡単になったり不要になったりしましたので、このことは死語になってしまいました。
規制緩和でエポックメーキングなことといえば1979年にITCチャーターを包括力チャーターといっていますが、この制度が導入されたのが非常に大きいと思います。1970年にジャンボ機が導入されました。これが第一期の大量輸送時代の幕開けでした。このITCチャーターで第2期の大量輸送時代の幕開けが行われたと言っていいと思います。それまでは私どもエージェントが航空会社から飛行機をチャーターして、一般公募するということが認められていなかったんです。それがITCチャーターの導入によりまして私どもエージェントがチャーターをして一般募集が認められることになりましたので、たいへん底辺の需要を喚起するのに私どもは楽になったわけです。そして運輸省が今は国土交通省と言っていますが、そのころテンミリオン計画というものを打ち出しました。日本人の海外旅行者を一千万人にしようという運動を展開したわけです。その運動の一貫としてITCチャーターも導入されたと記憶しております。このITCチャーターはさらに出来るだけ地方空港から出そうということで運輸省が積極的に地方空港からチャーターを後押しをいたしました。それにより地方の方々にもずいぶん海外旅行が身近なものとしてとらえていただき、おらが町の空港から出るんだということで、ずいぶん地域の住民にこれが浸透いたしまして海外旅行の地域における定着化にずいぶん貢献したのがこのITCチャーターでございます。先程のベトナムへのチャーター、平成10年から佐賀空港はチャーターをされていますが、いずれもITCチャーターでございます。
次に上げられます要因は公立高校の海外修学旅行の解禁でございます。特にこの公立高校の海外修学旅行への解禁については九州は先進国でありまして、全国に先駆けて各県とも競ってこの解禁を行いました。私ども九州のジェイティビーで2000年に取り扱いました海外旅行で総取扱人数が19万3000人ですが、そのなかで修旅関係が1年間で3万3600人で全体の17%が海外修旅で占めたわけでございます。これは全国的に今後更に増えていきます。 関東周辺の公立高校はまだ今からでございますので全国的にはまだまだ相当数が増えると見ています。これについてはのちほど触れたいと思います。
三点目は航空会社と旅行業者で共同した需要喚起、促進策を講じました。その具体的な商品のなかにパッケージ旅行があります。お手元の資料で日本人海外旅行現況の資料を差し上げていますが、そのなかで1-1と1-2をご覧になりながらお聞きいただきたいと思います。先ほど申し上げましたようにジャンボ機を導入したのが、1970年のことでございます。より大量により早く海外へお客さんを運ぶことが出来るようになったわけです。私どもと航空会社がこの機材が大きくなったためにどうしてお客さんをたくさん大量に海外へ運ぼうかと、そこで考え出されたのがパッケージ旅行でございます。さらに航空会社はそのとき東京と伊丹でしたけれども積極的に地方空港の札幌、名古屋、福岡に進出を果たしまして供給のパイが全国的にかなり広がりました。供給が需要をうむという現象がおきたわけであります。20年ほど前は福岡空港ですら4社しか就航していませんでした。キャセイ航空と中華航空、日本航空、そして大韓航空の4社でございました。そのころ香港と台北、ソウル、釜山の4都市ではなかったかと記憶しております。その後いろんな航空会社が進出してまいりました。さらにいろんな都市にも就航いたしました。今や福岡空港から中国だけでも8都市へ就航するというにぎわいを見せております。ただ、この5年間ぐらいで新たに航空会社が就航した都市も多いのですが、一方では撤退あるいは減便した航空会社も5社以上にのぼっております。たとえばBAのロンドンとかカンタスのシドニーだとか、ニュージーランドのオークランドとかエアランカのコロンボでありますとか、こういった遠距離の航空路線が撤退をされました。これは一方では忘れてはならないことであると思っております。撤退の理由は非常に単純明快でありまして経済原則に基づいております。要するに採算があわないということです。なかなか生産性が上がらない、黒字にならないということがほとんどの理由であります。常に私どもはこの航空会社の動向、撤退、減便については神経質になっております。近年は特に世界的に規制緩和が進んでいますので、経営的に非常に厳しいようでございまして、特にこの生産性は重視しているようであります。バブルの時代は特に日系の航空会社ですが儲かっている時代があられたようでありまして、そのころはステイタスシンボルとして路線を維持しているというような航空会社も見受けられました。しかし、それは今は夢物語でございます。海外旅行の大衆化に大きく貢献したものが、先ほど申し上げましたパッケージ旅行で、これをやっぱり見逃すわけにはいきません。この海外パッケージツアーは老若男女、一人からでも気軽に参加できる。言葉も心配いらない、より安心感がある。なによりも団体旅行でありますので非常に料金が安くて行ける。こういうことが大きな魅力になりまして、今や全海外旅行者数の50%ぐらいを占めるようになっております。のちほどこれも触れますが、パッケージツアーは今後も増えつづけると予測をしております。私どもの会社がパッケージツアーを扱う専門会社だからといって我田引水で申し上げているわけではございません。
その他目ぼしい要因としまして、ハネムーンが国内から海外に変わった、ほとんど現在は9割以上が国内から海外へ転化しています。これも大きな要因だと思います。特に近年は現地で挙式されるカップルが増えておられます。かつ両親だとか兄弟、親族が同行されるというパターンが急速に増えております。これは年間かなりの数にのぼってまいりました。私どもみたいに戦前生まれの人間からみれば、ハネムーンにどうも両親、兄弟が一緒についていくというのは馴染まないわけでありまして、これも時代の感覚の成せる技だろうと思います。 次に学生さんですね。特に女子学生の方が顕著でありますけれども、4年間に何回も海外旅行を経験される。ホームステイとか語学研修を含めて、特にここ数年ブームになっておりますのは、卒業記念旅行でございます。社でも面接をいたしましたけれども、だいたい多い人で4年間に2〜3回行かれた学生さんは少なくありません。こういった学生さんの海外旅行もかなり全体のボリュームアップに貢献をしているわけであります。この1月、2月、3月は福岡と日韓線が大変混んでおりましてなかなか取りずらくなっております。若干このところ景気があんまりよくありませんので段々距離が短くなりまして、近い海外で学生さんが卒業旅行をするという傾向が出てまいりました。その一つの目的地として韓国が特に顕著でございます。そのために大変混み合っているという状況でございます。 以上今までの日本人の海外旅行のトレンドをパノラマ的に見てまいりましたが、これからはいくつかの角度から現在の海外旅行はどうなっているのか、一部今後の見通しを含めて見てまいりたいと思います。本来であれば2001年のデータをもとにお話するのが一番よろしいんですが、ご承知のように昨年から出入国カードが日本は廃止になりました。なかなか2001年というと正確なデータが現時点で取れておりません。従いまして2000年の実績をもとに話を進めてまいりたいと思います。
2000年は2001年よりも多く、過去最高の出国者数を記録した年であります。先程から申し上げておりますように、1781万人と言われております。まず目的と形態です。目的は大きく四つに分けられると思います。一つめは観光旅行。二つめはビジネス旅行。三つ目は絶対量としては少ないのですが、海外におられる親族訪問。四つ目は教育関係、修学旅行を含めた語学研修とかそういうふうな類の教育旅行関係でございます。お手元の資料の1-3をご覧いただきたいと思いますが、もっとも多いのは圧倒的に観光旅行です。全体の63.6%を2000年の場合占めております。新婚旅行を加えますと65.8%というたいへん高いシェアになっています。観光旅行というのは97年を境に少しずつ割合としては下がっていますけれども、まだ絶対数は依然として一番多いわけでありますので、全体の海外旅行の数を増やすには、観光旅行目的のお客様をいかにして増やしていくかということが、ポイントになっております。
この観光旅行を更に形態別に分けますと、私どもの九州で取り扱いました2000年の例で申し上げますと、観光旅行は団体旅行と個人の二つに分けられるわけであります。2000年の総取扱人が約19万3000人でございまして、そのなかで団体旅行が48%でございます。団体旅行は私どもはふたつに分けておりまして、一つは一般団体。もう一つは教育団体。一般団体というのは招待旅行でありますとか、サークル旅行でありますとか、社員の職場旅行でありますとか、こういったものを私どもは一般団体と称しております。これが全体の48%のうちの30.7%ございました。それから教育団体はなかなかあなどれません。九州全体で17.3%でございます。団体がこの二つを合わせて48%で、残りの52%は個人旅行なんです。個人旅行のうち旅行エージェントと航空会社が共同開発しましたパッケージ旅行がなんと46.8%を占めています。残り5.2%が個人の手配旅行です。個人の手配旅行の中には観光性もありますし、若干ビジネス旅行も入っております。これは私どもの九州の例でありますが、全国的に見ますと実はJTBのパッケージツアーの比率は全体の取扱の人数のなかで50%を超えております。全体的にはこの数年見られる傾向でありますが、一般団体の招待旅行だとか親睦旅行、職場旅行でありますとかは年々減っております。これは今景気が悪いから法人事業が冷えているというのも関係あるかもしれませんが、基本的に私は日本人の団体旅行に参加するマインドが少しずつ変わってきている。特に若い方を中心としてどうも団体旅行はもうひとつピンとこないということで敬遠されがちになっているのではないかと思います。これが景気の冷え込みともうひとつの要因になっているのではないかと思っています。それで団体旅行は年々減ってシェアを下げている。逆に個人の手配旅行とパッケージツアーは毎年増えつづけている。従いまして個人旅行の比率が全体で年々上がってきているという状況です。全体の半分を占めるパッケージツアーの売れ具合で国際線のチャーターも含めまして搭乗率が決まるといっても現在では過言ではないと思います。このパッケージツアーは非常に大事なお客様ということになろうかと思います。昨年9月11日に同時テロが発生いたしました。これによりまして一時的に足踏み、方面によっては後退しておりますけれども、基本的には今後も顕著に伸びていくだろうと見ております。
次に旅行日数でありますが、1-4をご覧になってください。旅行日数だけみますと1日〜4日間は22.3%、5日〜7日間は35.9%、8日〜14日間は33.6%になっております。旅行の主流は5日〜14日間とある程度まとまった日数を掛けて海外旅行をしているわけであります。しかし、現況は4日以内という短い日数での旅行割合が段々増えております。逆に15日以上という長期旅行や現在主流になっております、5日〜14日間の割合が少しずつ減少傾向にあるようでございます。このことはどういうことを意味するかといいますと、近距離の旅行が割合として増えつつあり、それから単一の旅行先、モノデスティネーションと言っていますが、これが増えつつあるということを表していると思います。
次に時期でありますが、1-5をご覧になってください。これまでは4月、5月、6月、10月、11月というのは、比較的海外旅行のお客様が少ない月と言われておりますけれども、これをご覧になっていただくと年々平準化が進んでまいりました。しかし、依然として多いのは夏休みの8月がダントツであります。私どもの例でいきますと、7月末になりますと8月いっぱい全方面、ほとんどとれる席はなくなるという状況がここ数年続いております。よく2・8(ニッパチ)といいますけれども、こと海外旅行に関してはこの言葉はあてはまらないと思います。9月をご覧になりますと2位になっていますね。10年以上前まではこの9月はどちらかといいますとオフシーズンと言われた月だったんですが、これが2位まで上がってまいりました。これはどうしてかといいますと、ひとつは企業が夏休みの幅を広げて7月、8月だけでなく9月でも取りやすくしていると。8月は料金は高いんです。9月は極端に料金が安くなりますので特に女子社員が多いところでは9月に夏休みを取って海外旅行に出かける。こういうことがこの9月が2位に上がってきた背景だと思います。
![]()
次に旅行先を見てみますと、お手元の資料では1-6と1-7をご覧ください。方面別のシェアを見ますとアジアが前年を1ポイント上回りまして47.6%で断然多いです。次いで多いのが北米、中米の31%で、ヨーロッパが13.3%、オセアニア南太平洋諸島が7.1%になっております。旅行者数でもアジアは13.6%の大幅な増加になっております。デスティネーション別にみますと韓国が前年の13.2%増の247万2000人と2年続いてトップでございます。また中国は18.7%増の220万2000人と米本土を抜いて2位に上がってきております。アジアの各国はいずれも大幅な伸びが続いておりまして、伸び率では香港が17.7%、タイが13.2%、シンガポールが8.4%、台湾が11.1%の増になっております。2001年もテロが発生する以前までは同様な傾向をたどっておりました。なぜアジアがこのように人気が高まってきているかといいますと、ひとつは料金の面もありますが、アジアのリゾート、各都市のインフラが非常に進んでまいりました。もちろん航空路線もアジアはかなり増えてまいりましたので、それも背景にあると思います。旅行がしやすくなった。アジアの魅力が見直されつつあります。以前はバンコクに行ったら交通が渋滞して動きが取れない、時間がロスして通りを通ったら汚くてとても不潔感があったそういうことがブレーキになったりしていたんですが、今ではバンコク市内は塵ひとつ落ちていませんし、非常に町が清潔になったりインフラが進んだりで、そういうことが大きなモチベーションになっているんだろうと思います。特に九州は全国平均よりもアジアの比率が非常に高くなっています。そのなかでも韓国が突出して高くなっております。全国のなかで九州が誇れる唯一のデスティネーションです。九州全体で全国の海外旅行者数のなかで占めるシェアは、沖縄を入れまして7.5%、沖縄を外しますとだいたい7%なんですが、韓国だけは15%以上で、昨年は実績が取れておりませんけれども、たぶん2001年は40万人ぐらい九州から行ったのではないかと推定をしております。これは申し上げるまでもないと思いますが、なんといっても距離が近い。たぶん佐賀からソウルは1時間〜1時間10分ぐらいで行くだろうと思います。大阪と同じぐらいの距離で行ける。それから料金も安い。航空機、高速フェリーといった交通手段が発達しているということが背景にあるんだと思います。今年はどうかと言いますと、ワールドカップがございますので、ワールドカップの期間中は、特にソウル周辺のホテルはそういう方々の関係でとりづらくなっておりますし、飛行機もそういう方々で混んでいるようでありますから、そういう期間は反対に減るかもしれませんけれども、ただこのワールドカップは両国間の交流を促進するのに大きな契機になることは間違いありません。全体としては韓国については増えつづけるはずです。ただ全国的にみますと韓国は2000年のナンバー1のデスティネーションだったんですが、私どもの予測では2001年はどうも中国が入れ代わったのではないかと思います。中国は漢字の国で親しみやすい。観光的には非常に国土が広く、奥行きが深い。観光資源は無尽蔵にある。また中国だけが増便、増便と便が増えております。先程お話いたしました修学旅行が全国的にどんどん解禁されていまして、公立高校は熱い視線をこの中国に当てているわけであります。従いまして特にこの高校生を中心にした中国修旅は急速に拡大していくのではないかとみています。一方ビジネスの面で見ますと中国は世界の工場になりつつあるというのは皆さんご承知のとおりであります。日本が空洞化するぐらいに向こうに工場の移転が進んでおりますので、こういった絡みのビジネス旅行がどんどん増えております。従って中国に関しては観光も増える、ビジネスも増える、修学旅行も急速に増える。この3形態で中国は今後ももっとも伸び率が高くなるのではないかとみています。
2000年の実績をマーケット別に見てみますと1-8をご覧になってください。ボリュームでは熟年男性が18%ともっとも多く、次に既婚の男性、熟年女性になっております。旅行回数と旅行経験の切り口でみますと、1年間の回数が1回が60.4%、2回が26.1%、平均が1.7回となっておりまして、年々複数回数行う割合が多くなっています。熟年男性が2〜3回ともっとも多いです。既婚男性が1.8回、未婚男性高年の男性が1.7回がこれにつづいております。今までの経験回数では、旅行が初めての人が6%で、その前の年に対しまして2〜3回が16%、4〜5回が16%、6〜9回が20.4%、10回以上が40.2%に達しています。平均回数では12.2回という、いかにリピーターが何回も海外にお出でになるという現象が進んでいるかがご理解いただけるのではないかと思います。ただ今のところは絶対数では1-10をご覧になっていただきますと、20歳〜29歳が一番多くなっております。今後はどうかといいますと、一番有望なマーケットの層とみておりますのは熟年、高年の男女であります。この方々は個人資産は1400兆円のうち半分以上はお持ちになっているというふうに聞いておりますし、年金制度が発達した、それに少子化で子離れも済んだ、休みはいつでも取れる。旅行を一番しやすい条件を兼ね備えておられるわけですから当然だとみていいと思います。私どもの業界では中高年の熟年層を制したものが最終的には旅行業界を制するというふうに言われております。なかでも大半はご婦人方であります。行く先はご婦人方の意向で決まるということです。中高年のご婦人方が今後の台風の目でありまして、この方々がボリュームも行く先も鍵を握っているというふうに見ていいのではないかと思っております。
次に都道府県別をご注目いただきたいのですが、都道府県別の海外旅行者数と出国率をみてみますと、皆様のお手元の資料で1-11、1-12になります。最大マーケットはなんといっても首都圏で、これはなんといっても人口が多いから当然なんですが、実に日本全体の39%を占めております。九州は沖縄を入れましても7.5%にしかすぎません。その中でも福岡県がほぼ半数を占めております。九州のマーケットで福岡県を制するものが九州を制すると言ってもこの状況からいって過言ではないと思います。
次に出国率をみますと全国平均が14%です。最大が東京の25.4%で九州のほぼ1.5倍以上あるという状況です。九州は残念ながらトップの福岡県ですら全国平均には及ばない状況であります。残念ながら福岡県を除くとまだ一桁台という状況であります。首都圏、京阪大都市圏が極めて高い。地域差が明確に表れております。これを諸外国と比べてみますと、先進国の欧米、オーストラリアの比率はほとんどが20%以上であります。お手元に「21世紀のリーディング産業へ」ということでリーフレットを差し上げておりますけれども、それの表紙を開けたところに出国者数上位国(WTO予測)というのが載っておりますが、これをご覧になりますと先進諸国は非常に高いというのがご理解いただけると思います。日本をはるかに凌駕している。日本の周辺国、オーストラリアでも25%ぐらいあります。それから台湾は昨年は600万強が海外旅行を楽しまれています。そうしますと台湾の全体の人口からいいますと30%近くになりましょうか、お隣の韓国で昨年が608万人でございます。これは韓国観光公社の集計でございます。これを比率に直しますと14%です。九州より比率が高くなっています。参考までに韓国に608万人のうち日本へどれくらい来たかといいますと、116万人が昨年来られました。韓国と九州の経済力がほぼ匹敵するというふうによく言われますが、台湾までとはいきませんが、せめて九州の出国者比率が韓国並になってほしいなと私の個人的な感想でございます。空港別をみますと13でございますが、成田が全海外旅行社数の当然ながら51%で908万人、関空が26.1%で464万人、この2空港だけで全海外旅行者数の80%近くを占めております。さらに名古屋の172万人、福岡の94万人を入れた主要の4空港では、全体の92.1%を占めるという状況でありました。2000年は高松空港以外はすべて国際定期便が就航している空港は前年を上回りました。ちなみに佐賀空港は2000年は5200人、2001年が989人の実績となっております。ただ国内の空港ばかりに目を向けているわけにはいかない時代になってまいりました。
先日、私、仁川(インチョン)の空港を見てまいりました。世界の大きな動きについていけなくなるという部分もあるような感じを受けました。昨年の3月に、韓国の仁川の空港がオープンいたしました。ごく近い将来を4000メートルの滑走路が2本になるそうです。上海も巨大な空港が完成し、将来は滑走路が4本になるということ、話半分にしても巨大な空港であります。うかうかしていますと成田関空といえどもアジアのハブ空港としての地位から脱落する可能性がございます。特に九州の人達にとりましては、私は何回も経験をしておりますが、成田、関空から乗り継いで遠方に行く。特にオーストラリアとかヨーロッパ、アメリカに行くよりもソウルに乗り継いだほうが料金的にもお得ですし肉体的にも楽だということで、私はこの路線をよく利用しております。明らかに利用された方々はそういう評価が高いです。このソウル経由の利用度というのは段々上がっていくのではないかと思います。実際に旅行しますと成田で降りて国際線から荷物を税関の検査を受けてまた国内線まで行く。もし成田〜福岡の便が無い時間帯であれば、羽田まで出向いてそして大きな荷物を抱えてチェックインして九州まで帰らなければならない。そういう事を考えますとそれぞれの九州の空港でソウル線があるところは、そのまま荷物を引き出してそのまま自宅に帰れるというのは、大変肉体的には楽なパターンでございます。これは是非ご経験されたほうがいいと思います。特に仁川のソフト、ハードは大変優れていますし、福岡空港といえどもひょっとしたら仁川をハブにしてスポークの役割を担うことになるかもしれません。九州各地でも仁川をハブにしてスポークに徹したほうがより発展する可能性が高いのではないかと個人的にそういう感じがしております。
先程、供給が増えれば供給が新しい需要を生むというお話をいたしましたが、これは相関関係にあると思います。実は昨年のテロ発生後、供給構図に地殻変動が起きております。テロによる影響で、特に遠距離の欧米、ハワイを含みますが大変なお客さんの減りようでございまして、路線を維持するのに大変各航空会社は四苦八苦しているという状況が続いています。米本土については観光性だけでいいますと、まだ5割いっておりません。ハワイ欧米でだいたい7〜8割といったところです。特に今、航空会社がさきほど生産性を重視していると申し上げましたが、長距離路線がテロ発生を契機にして、関空から長距離路線の外国系の航空会社が減便、撤退しつつあります。なぜかといいますともちろんテロで直接的に被害を被ったのも、直接的な要因でありますが、もうひとつはこの長距離路線というのはビジネスクラスの搭乗率がよくないとなかなかペイラインに乗らないそうなんです。ところがビジネスクラスは成田は搭乗率はいいんですが、関空発は非常に悪いということです。それまでもすきあらば撤退しようと各航空会社は言っておりました。それが直接の契機になりましたのが、テロであります。現在私どもが掴んでいるだけでも名古屋と関空から欧米の路線が4月以降2割程度削減されます。あるいは撤退します。一方、4月18日に成田の第2滑走路がオープンします。これによってこの滑走路は短いので遠距離の定期便は就航できないんですが、今までの滑走路で東南アジア向けに就航している便は小さな飛行機を使っていますから、その分が第2滑走路に回ってまいります。全体としては成田の枠は広がるわけです。この広がった枠を使って各欧米の航空会社が成田にシフトしているという状況が生まれています。まさに東京一極集中で関空は地盤沈下しています。かなり関西の方にとっては深刻な状況を呈しつつあります。地方の場合どうかといいますと、全体的には長距離路線が減ってまいりましたので、特に欧米線については、この4月以降、現実に毎日予約の作業をやっているなかではとりづらくなってきつつあります。特に関空発は20%減ってきているわけです。九州の場合はわりに欧米線は関空を使うケースが多かったので、特に九州の場合はとりづらくなってきています。航空会社は今申し上げましたように、出来るだけ成田にシフトしている。生産性を上げるために効率よく成田から出そうという状況であります。九州から今後長距離を行こうという場合、成田で乗り継ぐか、ソウル経由のほうがよりベターではないかと思います。
こういうふうに全体的に座席の供給が逼迫してきますと、ここで威力を発揮するのがチャーターなんです。チャーターの利用目的というのは私どもは4つほどあると思います。実際私ども商売上も必要なんですが、ピーク時の繁忙期の座席の定期便の補完としてのチャーターです。それから先程企画部長からもお話がありました、新しいデスティネーションが乗り継ぎ乗り継ぎで行くと不便でもうひとつ気乗りがしない。こういう新しいデスティネーションの開発の為のチャーター。それから底辺需要をなんといっても底上げしてくれます。佐賀空港から出るらしいということで「行ってみようじゃあないか」という気持ちになりますよね。これが底辺需要の拡大につながる。もうひとつ先程から申し上げています、大量輸送の手段。特に修学旅行です。この4番目は特に私は重視されるべきだろうと思います。ヨーロッパは私は何回も行っていますがチャーター会社はたくさんありますし、アメリカもございます。バスなみにいとも簡単に一週間でチャーターしたこともあります。パリからジュネーブ、パリからロンドン、といとも簡単にチャーター出来るんです。もちろんむこうは離発着の枠など物理的な条件もそれなりに整っているんでしょうけれども、それにしても非常に手続きが簡単です。ただサインするだけでOKと機材さえあればですね。そうすると一括して大量にロンドン、パリからジュネーブへ運べるという同じような時代が日本にも来ているのではないかと思います。修学旅行はというのはどうしてもシーズンの波動がありますから、それをカバーするには結果的にはチャーターしか出来ないのではないかと思います。修学旅行のシーズンというのは、一般の観光客が動くシーズンではありませんよね。ゴールデンウィークとか夏休みに修学旅行をするところとかありませんから、修学旅行は秋とか4月、5月、6月のオフシーズン、10月、11月こういったところに発生するわけです。あるいは1月、2月で、この時期にチャーター機材で中国だとか韓国だとかあるいはシンガポール、遠くはヨーロッパまで運ぶ。そのあと空いた時期は観光客を運ぶ。さきほど申し上げた底辺需要の拡大とか新しい観光地の開発。ピーク時の定期便の補完というものが出来るわけです。私は今からチャーター会社を立ち上げればたいへん有効なニーズに応えられる会社になっていくのではないかと個人的にはそういう考え方を持っております。日本航空さんにしても全日空さんにしてもJASさんにしてもチャーター会社を10年ほど前に立ち上げられました。現実には全部定期路線の補完としての役割をされております。実際にはチャーター会社としてはほとんどが機能していないわけです。今から、私はこのチャーター会社というのは欧米並に普及していくのではないかと思います。そのホームベースを佐賀空港がやってもいいと思います。これは余談でありますが、そんな感じがいたしております。 以上実態をみてまいりましたが、今後の見通しですが、マクロ的には旅行産業は21世紀によく言われておりますが、基幹産業のひとつに成りえるというふうに言われておりますのは皆さんご承知のことだと思います。特に日本を含めた東アジア、中国、太平洋地区は、世界的に最も成長するマーケットだと言われております。今回テロがありましたので若干1〜2年は狂うかもしれませんが、7%前後で伸びるだろうと言われております。テロでブレーキをかけられ若干後退させられましたけれども長期的には拡大基調にあることを実感しております。特に急速に経済が発展して国民ひとりあたりの所得が増えております中国が台風の目で、ここが大きな牽引役を果たすことは間違いないと思います。じゃあ日本人の海外旅行はといいますと7%と単純にはならないと思いますけれども、私どもの財団の調査部の昨年の調査では、中長期的な2005年で2000万、2010年で2200万まではいくのではなかろうかと推測しております。ただし条件がございまして世界の情勢が安定していることです。それから為替が極端にぶれない。こういうのが基本的にあるということが前提であります。2001年は最終的にはどうなったかといいますと、テロで170万ぐらいは当初の見込みより減ったというふうにいわれておりまして、最終的に2000年対比でマイナス9.1%で1620万前後になっただろうというふうにいわれております。テロがなければの話ですが年間2001年では1800万前後という推定がなされています。本年はテロの影響からの回復状況が鍵になります。今私どもは苦労をしています。ゴールデンウィークと夏休みのこの二つのピークの繁忙期の特定期間を契機にして、大方、航空会社、旅行会社は回復に向かうだろうというふうな見方をしております。私どもの財団のごく直近の調査の予測では1664万人ぐらい、これは2001年対比で2.7%増になります。ただ2002年〜2003年にかけましては、今後の景気の動向でありますとか、為替の動向あるいはテロの動向がもうひとつまだいずれも不透明でかなり流動的というふうに見ざるをえないのではないかと私は思っております。
ただ、けっして悲観的な材料ばかりではございません。今年は日中国交の正常化30周年記念の事業が両国で開催されます。これにかなりの人の交流が現実に大きなうねりがございます。これでありますとかあるいはハッピーマンデーが増加しております。それから学校の週休5日制が非常に大きいです。今まではひそかに子供さんを休ませる親御さんが増えているんで、私も商売している立場ですが、人ごとながら心配なんです。平気で休まされて、夏休み、冬休み、春休み以外でも子供を連れて海外に出られる方がおられたんですが、今後は週休5日制が導入されますので堂々と行けるという、これはひとつの大きなモチベーションアップになると思います。それからさきほど申し上げました成田の第二滑走路使用の開始と良い材料も少なくないので、私は最悪の場合でも大きく下に振れることはないだろうと考えております。また私の経営上の願いでもあるわけでございます。
最後に本来の国際化の人の交流というのは2ウェイツーリズム、相互交流というのが基本なんです。外国人が増えますと受け入れる観光産業が潤うわけでありますけれども、航空会社に取りましても、イールド(生産性)を向上させるためには日本人だけの、アウトのお客様だけではなくて向こうから来られる外国人のお客さまも大変大事なんです。このあとお話されます杉原さんの米子−ソウルも、先程お聞きしましたら韓国からのお客様は20%ほど平均してお乗りになっているそうです。だいたい九州の便で現況を申し上げますと、一番韓国人の搭乗率が高いのはアシアナ航空、ソウル−福岡便で昨年一年間では50対50だと支店長さんが言っておられました。今年1月〜3月までは、65対35。向こうからが65でこちらが35です。アシアナ航空が特別なんです。ここに韓国人の方が集中しておりまして、向こうから到着の時間がすごくいいということが一つあります。あとは大韓航空さんとJALさんはどうかと聞きましたら、だいたい85%対15%という一年間でしたということを言っておられました。じゃあ長崎−ソウル、大分−ソウル、宮崎−ソウル、鹿児島−ソウルは1〜3月は実は逆転していまして昨日ちょっと聞いてきたんですが、大分と長崎は通常ベースで韓国人が3割に対して日本人が7割だそうです。今は逆転しておりまして7対3になっているそうです。これは冬の間あったかい南九州でゴルフをしようというキャンペーンをはっているという実績がこれに現れておりまして、通常年間平均してこの数字が出るとはとても考えられませんが、かなり航空会社が路線を維持するために貢献していることは間違いないと思います。それと地域の観光産業の方々に少なからず潤いを与えていることは間違いないと思います。
最後の資料で1-14を見ていただきますと、日本人が海外に出かけることを、アウトバーンと私どもは言っておりますが、2000年度は1781万人と大変多いわけですが、外国人の実数は諸外国に比べても大変低いんです。2000年の場合が410万になっております。一部の統計では470万という統計もありますけれども、いずれにしても500万を切っています。非常にアンバランスになっています。フランスは年間7000万の観光客が来ています。スペインとかフランスとかは観光大臣というのがいます。それぐらい重要な産業になっています。いかに莫大な数のお客様が来ているかというのはこれをご覧になっていただければ分かると思います。そのぐらいアンバランスになっていますので国土交通省としては、なんとかこれを海外から来られる比率を倍増させようということをやられておられまして、ウェルカム21プランというのをお聞きになったかと思いますが、これを今推進中でございます。ちなみに2000年に九州に来た外国人が約38万人といわれております。ほとんどがアジアからでありまして、そのうち35万人がアジアからです。韓国が19万人ぐらい台湾が8万人、香港が2万5000人、中国が2万5000人といったところであります。これから私どもが期待していますのがお隣の中国でありまして、一昨年の9月から初めて中国人の観光客としての、日本のビザが日本政府から解禁になりました。まだいろいろ制約がございますけれども、そうしたなかで月をおうごとに中国からの日本向けの観光客の方が増えております。解禁されましてからの一年数カ月の間に約2万人の中国人の方々が日本旅行を楽しまれました。そのうち九州にはいくらぐらい来たかといいますと、約1000人でございます。今後ビザの解禁地区も広がりますのでこれから急激に中国人の観光客が増える。また増えてもらいたいと希望を持っているわけです。なにせ中国は12億とも14億とも人口が言われておりますので、そのうちせめて0.1%でも九州に来ていただければ、100万とか120万とかの大変な数になるわけでありますので九州経済にとって大きな起爆剤になると思います。なにせ九州は距離的に中国と近いですし、便も先程申し上げましたとおり大変便も多い。一昨日も北京の旅行社の社長さんにお会いしましたけれども、九州にもうすでに十何本も送ってくれたエージェントなんですが、東京、大阪を回って九州に帰ってくるとホッとするということをおっしゃっていました。本当は全ての旅行に九州を入れたいのだけれど、日数に限りがあって最初日本を訪問する人は、東京、京都を中心に回らざるをえないということです。少しでもお金と日数に余裕があれば九州にこれからは回しますとおっしゃってくださいました。私も期待しているわけですが、そのぐらい九州の観光地としてのソフトハード、自然の恵を含めて素晴らしいものを持っているわけでありますから、私も根気よく誘致活動を続けてまいりたいと思っております。行政の方々あるいは経済界の方々に少しでもバックアップしていただければ大変ありがたいと思います。中国からのお客さんが増えれば当然九州の国際線の発展にも大きく寄与するわけであります。今がやっぱり誘致のチャンスだろうと思います。ここで官民一体となって誘致を図るべき時だろうと思います。
海外旅行から若干話がずれてしまいましたけれども、繰り返しになりますが、国際間の人の交流というのが本来2ウェイツーリズムが基本だと思います。特に国際線の発展には今まで申し上げましたように、2ウェイツーリズムの視点は欠かせないものだと思います。あえて若干向こうからのお客様の受入れについて補足をさせていただいた次第でございます。大変雑駁な話になりましてお耳を汚したかもしれませんがあしからずご了解いただきたいと思います。お手元へお配りしております「21世紀のリーディング産業へ」というのは本当に21世紀の基幹産業になりえるかどうかということを分かりやすく解説しておりますので、あえてお届けをしているわけです。中身については今日は割愛をさせていただきます。本日は大変ご静聴ありがとうございました。